
銀行に預けておくより利回りがよく、株よりはリスクが少ないと言われる社債。
私は、タイ株は投資信託と個別株両方買っていますが、それに比べると社債はなじみがうすいというか、あまり一般的とはいえないですね。
リターンが少なくても安全で、株とは違う値動きをするんだったら、投資の一部として検討してもよさそう。

外国人はタイの社債を買える?
どうやって購入するの?
リスクは?
ということで興味がわき、いろいろと調べてみましたので、この記事でシェアさせていただくことにします。
タイの社債の概要
・TBMA(タイ債券市場協会)によると、今年度(2020年)の社債発行総額は8,000億バーツ
・第2四半期の社債の発行残高は3,880億バーツで、そのうち3,230億バーツは長期社債の発行によるもの
社債はタイ語で「หุ้นกู้(フン・クー)」と言います。
英語表記では、国債を「(Government)Bonds」、社債は「(Cooperate)Debentures」とするのが一般的のようです。
信用度や財務状況などにより、債券の発行者と発行体の両方に11段階(AAA、AA +、AA、AA-、AA、A +、A、A-、BBB +、BBB、BBB-)で格付けされますが、両方とも「格付けなし」というものもあります。
たいていは償還期限(買戻してくれる日)が決まっており、利子が年4回(3ヶ月ごと)にもらえ、購入できる最低金額と売出期間が設定されています。
タイの社債の見つけ方
社債の最新情報は、以下のURLなどで得ることができます。
- タイ債券市場協会(The Thai Bond Market Association)
- Wealthmagik(ウェルスマジック)などのタイの金融・投資ポータルサイト
- 各金融機関のホームページ
財務内容などはその企業のホームページまたはタイ証券取引委員会(The Securities and Exchange Commission Thailand )で調べることができますが、取り扱い先の銀行に行くとファクト・シートを印刷してくれます。
高利回りの社債は富裕層向け
先ほどの Wealthmagik のサイトに高利回りの社債がでていました。
Nusasiri(ヌサシリ)という中堅デベロッパーの社債ですが、1年と2年があり、それぞれ6.55%、7.15%というハイ・イールド!
ですが、購入できるのは「機関投資家」および「大口投資家」に限ると書いてあります。
大口投資家って、いったいどういう人?
ということで、取り扱い先の証券会社、バンコクの KPM Securities に電話。









というわけで、預金残高が1億バーツ必要、なんてという必要はありませんでしたが、しがない大学講師ではどんなに頑張ってもこんな高給取りにはなれません。
ということで、一般投資家は金融機関が販売窓口になっているPO(パブリックオファーリング)のものしか購入できないようです...
タイの社債の購入方法
気を取り直して、一般人でも買える社債を探してみました。
こちらは、クルンタイ銀行のホームページに掲載されていたムアンタイ・キャピタルという会社の社債の公募。
ムアンタイ・キャピタルは1992年創業のオートローン会社で、土地を担保にした消費者ローンや低所得者向け無担保・少額融資のナノファイナンス事業なども行っているようです。
また、2019年には子会社を設立してバイクの割賦販売や、損害保険の代理店事業なども...(以下略)。

1年11ヶ月7日で償還、利率3%/年のものと、2年11ヶ月19日、利率3.4%/年の2種類があります。
購入の仕方ですが、以下のような流れになります。
- 社債の販売を担っている金融機関に赴き、予約をする
- 電話で購入ができるかどうかの通知が来る
- 期日に社債の購入代金を銀行で支払う
- 利子は口座に自動振り込まれる
- 償還期限になったら元本も口座に振り込まれる
必要書類はパスポート、ワークパーミットと納税者カード(納税者番号が記載された黄色いカード)です。

タイの社債を購入するときの注意点
購入に際して、社債の中身をしっかりと確認することですね。
写真のようなファクトシートを印刷してもらいましたが、これには社債という有価証券が持つリスクの他、発行する会社の事業リスクや過去2年間の財務諸表が記載されていています。
そこには、肝心の「発行者が破産または事業清算した場合の債務返済順位」の他、
- 「格付けは発行者の返済能力を示すものではない」
- 「発行者は満期前に償還できる権利を持つ」
- 「タイの債権は流動性が低く、購入者は満期前に償還すると元本割れする可能性がある」
などの注意事項が書いてあります。
希望者全員が購入できるわけでなく簡単な審査があるのと、公募額に達した時点で募集が打ち切られるので、とにかく告知を目にしたらすぐ金融機関に赴き、ファクトシートを確認して予約をしないといけません。
さらに、一度申し込んだら審査にはねられない限りキャンセルは不可。
ということで、難易度は結構高いです。

リスクについてですが、先ほどの記事にも
・上半期に利払い期間の延長を発表した企業が10社あり、その総額は72.5億バーツ
・TBMAなどが高利回りの債権を発行している企業を対象に調査を実施したところ、各銀行が金融流動性の点で支援を表明するなど、隠されたデフォルトリスクがあることがわかった
という記述があり、またこのファクトシートの中の「社債発行で調達した資金の用途」として、事業資金の他、2年前に発行し償還期限を迎える社債の返済に充てるということが書いてあります。
購入にあたってはこういったことも判断に入れることが肝要かと思います。
タイの社債まとめ
まとめると、タイの社債は
- 一般人が購入できる社債は少なく、高利率のものは機関投資家向け
- 一般投資家が見つけるのは難しく、すぐに予約しないと売れてしまう
- 外国人でも購入できるが、情報がタイ語オンリーで難易度が高い
- 社債の種類と、企業の財務状況をきちんと調べる必要がある
しかし、この記事を書いている時点で、タイの銀行でいちばん利率が良いオンライン口座で1.5%ですので、一般人が買える社債でも3%前後と、発行体が倒産しない限り「銀行に預けておくよりも利息が付く」というのは本当です。
また、償還期限まで持っていれば、元本も全額戻ってきます。

というわけで、数年間預けることができるまとまった資金がある方は検討する価値があるかも知れません。
最後に、この記事はタイの社債の購入をおすすめするものではありませんので、投資の判断は自己責任でお願いいたします。