
タイを旅行された方もタイにお住まいの方も、公園などで多くの人がランニングをしている光景を見かけたことがあると思います。
タイの人々は健康意識が高い人が多く、うちの大学にも学生や職員だけでなく近隣の人たちが朝夕に多く訪れ、キャンパス内を走っています。
またタイでは数キロのFun Run(ファン・ラン)から本格的なフルマラソン、ひいてはトライアスロンまで、年間を通して数々の大会が行われています。
いったいどれくらいの数があるのか調べようと思いましたが、とても把握できませんでした。
これらの大会には外国人でも参加できますし、かならずシングレット(ランニング用シャツ)と参加記念メダルがもらえるイベントは日々のランのモチベーションにもなります。
この記事ではタイでランニングをするにあたっての基本的な情報や注意点などについて解説します。
タイではどこでランニングする?
公園
タイでランニングに最適な場所は、各都市に整備された公園 です。世界屈指の大都会バンコクには、
- ルンピニ公園(Lumpini Park)
- ベンジャキティ公園(Benjakitti Park)
- ベンジャシリ公園(Benjasiri Park)
- チャトゥチャック公園(Chatuchak Park)
- ラーマ9世公園(Suan Luang Rama IX Park)
など市民の憩いの場が多くあり、BTSやMRTでのアクセスが容易なこともあり、多くの人がランを楽しんでいます。
また、私がタイ人同僚に教えてもらったバン・クラチャオ(Bang Krachao)というスポットもあわせてご紹介したいと思います。
ここはバンコクとサムットプラカンの県境、チャオプラヤー川に浮かぶ人工の島で、遊歩道が整備された緑豊かな森林公園となっており、ランニングするにも適しています。
行き方は、MRTのクロントゥーイ(Klong Toey)駅からタクシーなどでクロントゥーイ港(船着場)まで行き5バーツの渡し舟に乗るか、またはBTSでバンナー(Bang Na)駅まで行き、やはりタクシーなどでバンナー埠頭(船着場)まで行き、渡し舟に乗る方法があります。
その他の都市ですと、
チェンマイ
- ランナー・ラマ9世公園(Lanna Rama 9 Park)
- ノーンブアクハート公園(Suan Buak Hat Park)
プーケット
- サパーン・ヒン公園(Saphan Hin)
- ラマ9世公園(King Rama 9 Park)
などが有名なようです。
大学の構内
大学構内は広く、車やバイクも速度制限があるので危険も少なく、走るのにいい場所です。
池や噴水、モニュメントや学部によって異なる校舎などを眺めアカデミックな雰囲気(?)を楽しみながら、またランニングトラックが空いていればそこを走ることもできます。
ただし、多くの大学が22時~5時までは出入りできるのがメインゲートだけとなり、卒業式など大きなイベントがあるときは一般の人は立ち入り禁止となるので注意してください。
一般道路・路上
バンコクの道路は平坦でなく、足に負担がかかったり捻挫などの怪我をしたりする恐れがあるためあまりおすすめしませんが、そのほかの都市では交通量もそこまで多くなく、大きな池の周辺など遊歩道が整備された場所もあります。
ビーチ
タイの美しい海辺で心地良い潮風を浴びながらのランニングは、なにより爽快な気分になります。
そして、硬い地面の上を走るのに比べると特に足、くるぶし、腹部の筋肉、そして腰周りの筋肉が鍛えられ、高負荷を身体にかけても砂の衝撃吸収性により筋肉のダメージや痛みの軽減につながるということです。
問題は、特に有名なビーチでは人が多い場所や時間帯では走るのが難しいことと、瓶などの破片が落ちているので裸足では危険ということではないでしょうか。
ジムのトレッドミル
ジムにあるベルトコンベアのランニングマシン、トレッドミルと言うんだそうで、私はあまり好きではありません。
雨の日や、日が高くて暑い日中、または大気汚染が深刻な日(後述します)などにはいいと思います。
ただし、ジムでは数百バーツを払って一日使い放題というところが多く、ランのためだけにジムに行くのもちょっと気が引けるところです。
おまけ:イミグレーションのスカイ・ランニング
バンコクにお住まいの方がビザの更新などで行かれるであろうチェーンワタナの政府総合庁舎(Government Complex)Bビルの4階に、スカイ・ランニング(Sky Running)というユニークなランニング用トラックがあります。
エアコンが効いた庁舎内にある一周412m、3レーントラックは安全性に優れた弾力性の高いゴム舗装。更衣室もあり、誰でも無料で走ることができます。
仕事が終わった職員に運動することを奨励し、帰宅時間をずらすことで周辺の渋滞を緩和させるのが狙いのようですが、一般人にも解放されています。
スマホアプリと連携して、走った距離などが表示されるようです。
参考記事:Running Smoothly(The Nation、2018年7月21日オンライン版)
ランニング時に気をつけたいこと
- 熱中症に注意
- 車と野犬に注意
- 環境汚染PM2.5は特に注意!
熱中症
タイでカンカン照りの日中に好んで走る人はあまりいないかと思いますが、熱中症は体温を一定に保つことができなくなることによって起こります。
ランニングは朝か夕方~夜の比較的気温が低い時間帯に(といっても25℃は下回らないと思いますが...)、そして乾季に入って涼しくても水分はしっかり補給してください。
参考記事:タイでももちろん熱中症に注意!その予防と対策の方法
車と野良犬
タイは世界で2番目に高い交通事故死亡率を誇る国で、2018年には1万5千人以上が亡くなり、百万人以上が怪我をしています。
特にナイト・ランナーの方は、車やバイクに十分気をつけてください。
路上を走る時は、車の流れとは反対に走るのをおすすめします。そうすることで、前方に何が起きているか確認でき、それに対応することができます。
また、タイは2020年までの狂犬病撲滅を目指していますが、年に1、2回、狂犬病についての報道を目にします。
もし、万が一ランニング中に野良犬に遭遇したら走るのをやめ、犬を刺激しないようにしましょう。
大気汚染
近年、特にバンコクでは大気汚染が深刻化していまして、年に数回PM2.5の飛散状況についての報道が集中的になされるようになってきています。
私が朝走らないのは、授業の準備や執筆の時間ということもありますが、大気汚染が怖いからというのも理由です。
こちらのリアルタイム大気質指数ビジュアルマップで確認し、PM2.5の数値が高いようでしたらランニングを取りやめるか、室内でのトレーニングとした方がよさそうです。
タイでランニングのイベント/マラソン大会に参加する
私の大学構内でも11月に入ると3~4回キャンパス内を走るイベントが開催されるので、タイのマラソン大会はでっきり涼しくなる乾季の風物詩だと思い込んでいたんですが、そうじゃなくて各地でいくつもの大会が開催されているんですね。
マラソン大会はたいてい距離や性別、年齢でカテゴリー分けされ、4時半~6時のスタートになります(一部深夜に行われるものもあります)。
カットオフタイム(Cut-off Time)といって何時間以内に走りきらないといけない、という制限時間のようなものがあるのですが、かなり余裕を持った設定がなされています。
大会といっても決して大げさなものではなく、スタートの合図が鳴ってもスマホで話したりセルフィーしたりしてる人や、のっけから歩いている人もいます(笑)。
気楽に参加してみましょう。
有名なイベントの一例として、次のようなものがあります。
バンコクマラソン(BDMS Bangkok Marathon)
バンコクで毎年開催されていて、3万人以上が参加する大規模な大会。
旧市街、ワット・プラケオ近くが出発/ゴール地点で、42.195km、21.1km、10.55km、5km、の4つのカテゴリーがあります。
ウェブサイト:http://www.bkkmarathon.com/home-EN.php
リバー・クウェー国際ハーフマラソン(River Kwai International Half Marathon)
カンチャナブリーのクウェー川沿い、風光明媚なルートを走る大会。
38km、21.1km、10.55km、の3つのカテゴリーがあります。
ウェブサイト:http://amazingfield.net/home-EN
スーパースポーツ 10マイル国際ランニング大会(Supersports 10 Mile International Run)
タイの5都市で行われるランニング大会(5&10マイル)。全てのランを一括で申し込むと参加費10%引き。参加費の一部は乳がん基金とパラリンピック組織委に寄付されます。Supersports 10 Mile International Run 2019 - Bangkok https://t.co/yzVC9O3skW
— バンコク郊外の大学講師🇹🇭 (@thaifoodfun) 2019年1月7日
タイのメジャー都市(プーケット、ハジャイ、バンコク、コラート、チェンマイ)で行われる、10マイル(約16km)と5マイル(約8km)のランニング大会。
タイの各地を訪れながらランニングもでき、シングレットとメダルをコレクションするのも楽しいイベントです。
イベントの探し方と大会への参加申し込み方法
ググればたくさん出てくるのですが、Go To Race(英語)というサイトに行くと、タイ国内のランニング/マラソンイベントの一覧が見れるので便利です。
日程と場所を見てエントリーするか検討し、そこからオンラインで参加申し込みをすることもできます。
なお、このサイトから予約手数料8.7%がかかりますが、それを支払うのが嫌でしたら、このサイトはイベントを探すためだけに使用し、イベント名で再検索すればいいでしょう。
タイでランニングするのに便利なグッズ
ランニングには基本的にシューズとランニングウェアさえあれば他に必要はありませんが、走りに行くのが楽しくなるガジェットなどが多くあり、揃えはじめるときりがなくなってしまいますので、基本的なものだけここに挙げておきます。
ランニングシューズ
タイではランニングシューズは数百バーツから手に入りますが、デザインがイマイチですし、とにかく足にフィットするのを見つけるのが困難です。
タイは世界で一番日本のものが入手しやすい外国なんじゃないかと思うのですが、ランニング用に限らず靴だけはこの国でいいものにめぐりあえたことがなく、いつも一時帰国時の購入物品リストに入っています。
できれば品揃えが豊富な日本で購入した方がいいでしょう。
ランニング用ウエストポーチ
私はスマホ(iPhone8)、アパートの鍵と小銭を収納するのにこちらを使っています。専用のウォーターボトルもあり、しっかりと固定できるのでおススメです。
スマホアプリとスマートウォッチ
スマホを見ながらランニングするのがOKであれば、ランニング用のアプリがあり、GPS機能を利用したマップだけでなく、距離や平均ペースなどもわかって便利です。
以下に代表的なものを3つご紹介します(いずれも無料です)。
Nike Run Club
毎回のランの記録を詳細に見ることができるほか、目標達成のためのトレーニングメニューを作成してくれたり、音声ガイドによるアシスタントがあったり、初心者から本格的なランナーまで使えると好評です。
また、Nikeのシューズを登録して、使用状況などが管理できるそうです。
Runtastic
こちらもGPSを使ってランニングを計測してくれるアプリで、初めてのアプリとしてはシンプルで使いやすい。
ランニングなどの計測だけでなく、フィットネスやヘルスケア関連のアプリがたくさんあり、有料機能にアップグレードすると音声ガイドがついたり詳細な設定ができたりするほか、肉体改造12週間プランや食生活ガイドといった機能が使い放題になります。
Strava
Stravaはサイクリング用として知られていますが、ランニング用のアプリとしてももちろん使えます。
基本機能は無料で使え、有料版にするとコーチング機能などがあるのも他のアプリと変わりませんが、PC版での統計の表示が様々なデータを網羅していて素晴らしく、他のランナーとさまざまな部分を比較できる機能がユニークです。
ランニングウォッチ
トレーニング時は心拍数や酸素摂取量などを、また一日の歩数や距離、消費カロリーなど日常の活動量(ライフログ)も計測して健康管理に役立てたいのでしたら、ランニングウォッチもおススメです。
まとめ:タイでランニングをしましょう!
ランニングはもっとも気軽にできるスポーツで、タイでもブームになっています。
昔と比べるとかなり衛生的になり、医療のレベルも高いタイですが、酷暑や効きすぎのエアコンなどにより油断すると体調を崩しやすいです。ぜひしっかりした健康管理をしてください。
私はランニングを本格的に始めたのはタイに来てからで、最初は学内で行われる小規模なイベントに参加していたのですが、だんだんと周辺に足を延ばすようになってきました。
最初に参加したランニングとウォーキングが一緒になったようなイベントでは、まだ小さい子供をベビーカーに乗せてあやしながらウォーキングする母親や、3人で手をつないでゆっくり走る親子がいたりと、タイならではの微笑ましい光景を見ながらランを楽しんだものでした。
うちの大学のスポーツ科学学部に「Sports is medicine(スポーツは医療)」という標語があるのですが、まだまだランニング人気が続いていくであろうタイで、一緒にランニングしてみてはいかがでしょうか?