
「バンコクの大衆食堂がミシュランガイドで星を獲得!」
そんなこと起こるのか!?って感じだったのですが、ミシュランガイドって、てっきりドレスコードがあって正装して行かないといけないような高級レストランばかりが掲載されているもんだと思っていたら、2年前にはシンガポールの屋台(!)2軒も星を獲得してるんですね。不勉強でした...
どんな店?
今回ミシュランの一つ星を獲得したジェーファイ食堂(ジェーは姐さんとか姉御、ファイは「ほくろ」の意)、バンコクのザ・下町、プラナコーン地区にあり、72才のファイさんことスピンヤーさんが切り盛りしているのですが、料理のお値段は高級レストラン以上。なんと蟹肉入りオムレツが800~1,000バーツ、バミー(タイのラーメン)の海老炒めが500バーツ、トムヤムクンが600バーツ、海老おかゆが400~500バーツなど。着席してメニューを見ると思わず目をこすって何回も確認してしまいそうです。
昨年のとあるインタビューでは、子供の時は料理があまり好きではなかったが自分でスープを作ったらおいしくできたこと、子供時代は貧乏で学校にいくお金がなかったからおばあさんの手伝いをしないといけなかったこと、当時のメニューはお粥とクイッティアウしかなかったこと、ラートナー(あんかけ)が大好きだったけどほかの店で買えないから自分で作ることにしたことなど、お粥はโจ๊กแห้งジョーク・ヘーンといって昔ながらの作り方を踏襲していることなどを語っています。
ファイさんがこのお店を始めて30年になるそうです。
なぜ高い?
とにかく食材にこだわっていて、海老や魚はメークローン(マハーチャイ)から、蟹はタイ南部ナコーンシータマラートから取り寄せていて、これだけで仕入れ値1万バーツ以上するから、というのがその理由。
食べに行くか?うーん、やっぱり行かないかな。
これ以上お店が忙しくなるのは大変だろうし...というのは建前で、薄給の現地採用大学講師にとっては、蟹オムレツに1,000バーツはちょっとムリっす。
嬉しくない悲鳴?
MGR Onlineに、ミシュランの2018年バンコク版掲載店に選ばれてからというもの、多くの客、ジャーナリスト、ブロガー、グルメ批評家などが店に詰めかけ、さらには税務署の職員が所得隠しをしてないかチェックに来るなど生活が激変。
また、タイ政府のプロモーション活動に協力を要請され断りきれないこと、フアヒンでのテニスの国際大会でオムレツとトムヤムクンを作るよう頼まれ店を2日閉めないといけないなどで疲労困憊。
いままでの日常に戻るために星を返上したいというファイさんの発言が紹介されました。
獲得した星は返上する?
華僑といえどもタイ人だから「足るを知る」教育が行き届いていて、店も十分繁盛してるし、ミシュランはありがた迷惑だったんじゃと思いきや、すぐさま娘さんが「母がそんな発言をした事実はない」と星の返上を否定。
https://www.khaosod.co.th/special-stories/news_679099
(カオソット紙より)
このファイさん、70才を越えてもなお一日8時間もフライパンを握り、ゴーグルを着用して凄まじい火力で調理し続けているスタミナや、「来店した人は最低400~500バーツないとここで食事できないわよ」と強気で言い切っているところなどからすると、かなり誇り高き辣腕家。
さすがの姉御も店に押し寄せる人の波が尋常ではなく軽いショックだったのか、そうでなければ彼女なりのメディアへのリップサービスだったのかもしれませんね。
懐に余裕がある人は、名物ไข่เจียวปู(カイチアウ・プー:蟹オムレツ)店主思い入れの一品ราดหน้าทะเล(ラートナー)を試してみてはいかがでしょうか?
そして、ミシュランの星に違わぬ味だったかどうか、ぜひ教えてくださいね!とお願いしたいところなのですが...
「ミシュランガイドバンコク2018」で星一つを獲得した旧市街の『Jay Fai』。
獲得当初は2時間待ちとも言われていましたが、現在はもっと混雑しており、予約しなければ入店できない状況です。 pic.twitter.com/aDnfNuFNLz— 西尾 康晴@Bangkok (@nishioyasuharu) 2017年12月17日
(ブログでタイの屋台グルメを網羅されている西尾康晴さんのツイッターより)
現在のところ数日先まで予約客でいっぱいとのことです...
お店情報
黄金の丘で知られるワット・サケット、パッタイの有名店ティップサマイのすぐ近く。タクシー運転手にร้านเจ๊ไฝ ประตูผี(ラーン・ジェーファイ・ プラドゥーピー)と伝えればOKだと思います。