
5月に入って、スーパーでもタラート(市場)でも路上でもドリアンを見かけるようになりました。
ドリアン(タイ語ではトゥリアン:ทุเรียน)は東南アジアの果物で、その大きなサイズ、厚くて硬いトゲの殻、鼻が曲がりそうになる匂いと強力な風味で有名ですね。 実際にドリアンは世界で最も匂う果物として知られていて、そのためにホテルや公共交通機関では持ち込み禁止にされています(とはいってもバンコクの高級デパートでドリアン食べ放題のイベントをやっているので、場所にもよります)。
好き嫌いがはっきり分かれる「果物の王様」。私は自分から好き好んで食べるほどではなく、タイの友人に誘われれば食べるっていう感じなのですが、これを食べずしてタイや東南アジアを語るなかれ、ってことで、実際に自分で買って食べたり調べてみたりしたので、ブログ記事にしようと思いました。
ドリアンが大好きだという人にも、興味はあるけどいまいち口に入れる勇気がないという人にも読んでいただきたいと思います。
ドリアンの選び方
昨日、スーパーで本来199バーツ(1キロ当たり)のところ129バーツの安売りをしていたのを見て買おうかと迷ったのですが、なんとなく買うのなら市場の方がいいのでは、という気がして今朝行ってみたところ、同じモントーンという有名な品種のものが160バーツでした...スーパーの方が安いこともあるんですね。
スーパーでも市場でも、店員さんが木の棒でポクポクと叩いて、木魚のようないい音を連発していました。スイカもそうですが、これで熟れ具合を判断しているようです。
そして、そのあとトゲに覆われている殻(Duriはマレー語でイバラとか植物の小さな突起のことです)をナイフで剥き、実際に身の部分を指でツンツンさせてくれます。すでにパックに入れてあるドリアンも指で押して柔らかさを確認させてもらえます。
この時、硬くなく、また柔らかすぎないものを選ぶのがベストです。慣れないうちは店員さんに聞くのがベスト。私がどうしようか悩んでいると、ちょうど居合わせた買い物客の一人がこれがいいとアドバイスをくれました。
少し硬めのを選んで1~2日待って熟れてから食べることもできるのですが、殻を剥いてからあまり時間を置かないで食べた方がいいとのことでした。
ドリアンの食べ方と保存方法

ドリアン・マムアン(ココナッツソース漬けのドリアンの切り身ともち米)
買ってきた生のものをそのまま手づかみで頬張るのが一般的ですが、マンゴーのようにココナッツミルクをかけてもち米を添えたり、揚げてチップスとして食べたりもします。
熟すにつれて匂いの強烈さが増し、このにおいが強くなればなるほどおいしいという人もいれば、どんな状態でもアローイという人もいます。しかし.、柔らかすぎると苦みが出てくることがあるということで、あまり柔らかくなり過ぎないうちに食べ切ってしまいましょう。
食べ切れない場合は、まだ硬さがあれば室温で、もうすでに熟してきている場合は冷蔵庫で保管ということですが、いずれの場合もしっかりラップで包みます。冷蔵庫に入れて一晩おいたものを食べてみましたが、冷やしたせいか、はたまた熟したせいなのか、1日目に常温で食べたときよりも甘く感じました。
また、冷凍庫に入れると匂いも味も生のものよりはマイルドになるという記事を読んだので試してみたところ、冷蔵庫に入れたものよりもさらに糖度が増していました。

買ってはみたけれどどうしても味がイマイチで食べれない、という人は冷やしてみるのがおススメです。

ドリアンの匂い、味と食感を例えると?

プラチンブリ県産のガンヤオ種。モントーン種より丸みを帯びています。
人によって表現の仕方が違って、中にはそれは言い過ぎだろっていうのもありますが、匂いはガスですね。
いまはオール電化のご家庭がほとんどかと思いますが、昔うちの実家ではプロパンガスを使っていまして、漏れがすぐわかるようにつけてあったあの匂いに似ています。
また、草津に行ったときに温泉街が独特の硫黄臭で覆われていましたが、それにも似ています。
実の表面はごく薄い皮でツルツルしていて、この薄皮と種のまわりはジャックフルーツのように筋っぽいですが、口に残るほどではありません。
ドリアンの味ですが、最初は炒めた玉ねぎっぽいのですが後味はカスタードクリームのような甘さが口に残ります。
食感はというと、一口目、薄い皮に歯を立てるときはややもっちりしていて、中身はカスタードクリームのようにトロっとした感じです。
一般的に、フルーツというと甘くてよい香りがするものと思いがちですが、そうイメージがあるとドリアンのような果物を食べたときにギャップに苦しむことになるのではないでしょうか?
ドリアンは、ビールや納豆のように慣れ親しむ必要がある味ですので、みんなおいしそうにムシャムシャ食べてるのに私はあまり好きでないな、という方も心配はいりませんよ。
ドリアンの匂いの原因と消し方

チャニカイ種。品種によって形、大きさ、匂い、味すべて違います。ここまで来たら全種類制覇だっ!
シンガポールの生物医学の研究者によると、においのもとは硫黄化合物で、ドリアンの多くの遺伝子が悪臭を発生させる働きをしているためにあんなに臭いのだそうです。
そして、その匂いはオランウータンのような霊長類を惹きつけて食べてもらい、種を排泄して広くまき散らしてもらうためではないかということです。
さて、食べた本人は気にならないかも知れませんが、ドリアンを食べた後の口臭は生のニンニクを食べたあとのようで、特に「ドリアンは勘弁」っていう人が周りにいると迷惑になりそうです。
1~2房くらいでしたら歯を磨いてデンタルフロスで歯間を掃除し、マウスウォッシュを使用する、またはドリアンの殻の内側の白い部分に水を注ぎ、その水でうがいするなんていう方法もありますが、口臭には胃腸から発生するものもあるので、結構な量を食べた場合には以下を参考にしてください。
- ココナッツジュースを飲み、ミントキャンディーをなめる(ドリアンを食べると体内が熱を持った感じになりますが、ココナッツジュースはその熱感とゲップが出てしまったときの臭いを和らげてくれます)
- 緑茶をガブガブ飲む(緑茶は消化のための代謝を促すほか、ドリアンを含むあらゆる種類の食べ物に起因する口臭を取り除く働きもしてくれます。また水分をたくさん取ることで体の熱を冷ます)
- 繊維質の野菜や果物を摂る(リンゴ、ナシ、ニンジンなどの果物を噛むと唾液が出ます。 それが繊維と組み合わさると、くさい臭いを取り除くために口を清潔にするのに役立ちます)
- ヨーグルトや善玉菌を含むものを摂取する(ヤクルトのような酵素飲料は、胃の中で発酵しているドリアンを効率よく分解してくれるので口臭が減ります。 便通を促す効果もありますので、あまりとりすぎないように注意してください)
- 牛乳のようなアルカリ性の飲料を飲む(酸性の食物であるドリアンに対しては、中和する手段として牛乳、豆乳、ポカリスエットなどのアルカリ性飲料を飲むことで口臭を減らすことが強く期待できます)
ドリアンとアルコール飲料を一緒に摂取すると死ぬって本当?
これについて調べていたら、実際に死亡したという人についてチュラ大の医師がコメントする動画を見つけました。
なんでもドリアンと酒でお腹が破裂したとか...それがこちら↓
こちらの医師によると、お酒を飲みながらドリアンを食べたらよくないというのは間違いないものの、それだけでお腹が破裂するというのは正しくないということで、この亡くなった方は以前に交通事故かなにかで胃壁のどこかに弱いところがあったからではないか?という見解でした。

ドリアンとアルコールの食べあわせがよくない理由は、前述のとおりドリアンのにおいは硫黄分で、私たちがお酒を飲むと酵素(エンザイム)がアルコール分を分解してくれるのですが、硫黄分はそれを妨げるというのです。
その結果、アルコールの毒素が体内に増えすぎて死に至ることもある、とこの医師は語っています。
私の同僚は、実際にビールを飲んですぐドリアンを食べたことがあるそうですが、身体がカッカして頭がクラクラし、吐き気をもよおしたとのことで、

と語ってくれました。
酒とドリアンという組み合わせは私には想像できないのですが、コーラなどの炭酸飲料とドリアンはもしかしたらあるかも知れません。
余談ですが、これらが一緒に胃の中に入ると大量のガスが発生し、気分が悪くなることもあります。

まとめ
いかがでしたでしょうか?
特に好物というほどでもないドリアンについて熱く語ってしまいましたが、まとめると、
- ドリアンに初挑戦する方はスーパーでも市場でも、店員さんか他のお客さん(日本ではあまりないと思いますが、タイではありです)にお願いして選んでもらう
- 買ってきたドリアンは柔らかくなり過ぎないうちに食べる
- 味は最初玉ねぎ後味カスタードクリーム
- 冷やすと甘みが増すが、冷蔵(冷凍)庫に入れるときはラップでしっかり包む
- 匂いの正体は硫黄化合物
- 食後のエチケットは、ココナッツジュース、緑茶、繊維質の野菜や果物、ヨーグルトまたは牛乳
- ドリアンと酒はやめておいた方が身のため
とまあこんなところでしょうか?
ドリアンは健康で栄養価が非常に高く、ビタミンB群、ビタミンC、ミネラル、植物性化合物、上質な脂肪および繊維が含まれています。
一度トライしてみる価値はあると思うのですが、結構いい値段するし、一人で食べるには多すぎるんですよね...