
แกงเขียวหวาน(ゲーン=スープ、キアウ=緑色、ワーン=甘い)、僕がタイに来て最初に食べたのは、このタイのグリーンカレー。アパート前の注文屋台(材料さえあれば一通り何でも作ってくれる)で食べたのですが、作ってくれたのは70才くらいのおじいちゃん。簡単な英語でやり取りが可能でした。長いことサウジアラビアで出稼ぎをしてきて、昔は成田空港でも働いていたことがあるとか。
来タイしたその夜に初グリーンカレー
タイ料理はとにかく辛い!と聞いていて、これが初めてのタイ料理だった僕は、注文の時に指差し会話帳を見せて「あまり辛くなく」と伝えたのですが、最初は口当たりの良いグリーンカレーを2、3口食べたとたん経験したことのない辛さが口内を襲い、舌は完全に麻痺し、麻酔をかけられたの如く動かせなくなってしまいました。
氷だけ入っていたプラスチックのコップに、テーブルの上に置かれていた、これまたプラスチックのピッチャーに入った飲料水を急いで注ぎ、一口飲む。
少し引いたと思った赤い悪魔がまた僕の舌を襲う。
顎を落とし、口を縦に空けて舌を下げ、まるで熱いものを口に入れてしまったように空気を吸い込む。
思わず「ほぉっ」という声が出る...
これを見ていた料理人のおじいちゃん、まるで自分が人生最大の過ちを犯したかのように慌てて、申し訳なさそうに
「作り直しましょうか?」
という申し出。
「そんなことはさせてしまっては申し訳ない」
真面目な日本人の僕は、
「いや、大丈夫です、OK、OK」
とそれを丁寧に断り、なんとか最後まで食べきってからおじいちゃんに
「ベリーグッド」
と言って、無理やり作り笑いを浮かべました。屋台の料理は一皿の量があまり多くないのも、この時は幸いしました。
ピッチャーに入っていた水をほとんど飲んでしまい申し訳なかったです。しかし、翌朝は...トイレから1時間くらい出ることができませんでした。
ゲーンキアウワーンの具材と味
今日、所用で昔住んでいた辺りまで来たので、そんなことを思い出しながら、タイに来た当初とは全く様変わりした場所でゲーンキアウワーンを食べました。
味の方は... うーん、期待外れです。
最初に食べたグリーンカレーはもっとこう、サクッと作ったにもかかわらず何日も手間暇かけたようなどっしりとした味だったんだよなぁ。
タイのカレーやスープには食べられる具材(鶏肉、バジルの葉、มะเขือเปราะマクアプロという タイの茄子)と、薬味・ハーブ(こぶみかんの葉、ข่าカーというタイの生姜、赤と緑の唐辛子)がごちゃ混ぜに入っています。マクアプアングという、グリーンピースより少し大きく硬いタイの茄子や、ถั่วฝักยาว トゥアファックヤーオといういんげんは今日食べたお店では入っていませんでした。本当に作ってくれる人(の気分?)によります(笑)。また、お店に具材があれば鶏肉だけでなく、豚肉でも牛肉でもできます。
味の方は、「甘い」という言葉通り、屋台や大衆食堂ではコンデンスミルク、ちょっといいレストランだとココナッツミルクを使うので、口当たりは甘いのですが、生姜が入っているので後味はスッキリです。でもすぐに辛さに支配されます(笑)。辛さは3、4口目(個人差があります)でだんだんヒートアップして、頂点に達するとそのまま食べ終わるまで持続する感じ。
ちょっと感傷的な気分
タイの屋台は栄枯盛衰が激しい。つい最近新しい屋台が出たと思ったら、知らないうちになくなっています。僕が最初に食事をした屋台も、1年も経たないうちになくなっていました。
どこかもっと繁盛できる場所に引っ越しちゃったのか、店主のおじいちゃんがいい年だったから引退しちゃったのか...
僕に辛さ耐性ができていまタイ料理をエンジョイできるのも、15年前に人生初めてのグリーンカレーを作ってくれたおじいちゃんのおかげ。できればいなくなる前にひとこと挨拶したかったな。