
タイで就職しても日本のように福利厚生、つまり給与以外の手当てがあります。
私の勤めているのはとある機関であって企業ではないので詳細は異なるかも知れませんが、雇用されているので基本的には仕組みは同じですし、私は多分、日本人の現地採用者の中でも給与ランクは下位の方なので、日系企業にお勤めの方の条件はこれよりは断然いいのではないでしょうか。
今日はそのうちの医療保険について、2017年11月現在の私の勤務先での状況をお話しさせていただきたいと思います。
タイの医療保険
タイの医療保険も日本と同様に(日本で就職した経験はありませんが)法律で定められているものと、雇用主が独自に設定したものがあります。
社会保険カード
Social Security Cardはタイの厚生労働省の監督のもとにある社会保障局が発行するもので、すべての被雇用者の加入が義務付けられています。
被雇用者は、月給が15,000バーツ以上の場合、この額の5%、つまり750バーツが毎月給与から天引きされます。雇用主も被雇用者一人につき同額を社会保障局に納めます。

社会保険カードで診察治療が受けられる病院のリストが掲載された冊子
被雇用者は、社会保障局が指定した病院のリストの中から近くにある病院を指定し、病気の場合はその病院または併設のクリニックに赴いてこのカードを提示すると、無料で診察と薬の処方が受けられます。しかしながら、加盟病院はすべてローカルな病院で毎日の患者数が多く、診察を受けるのに数時間待ちなんていうのももざらです。
そして、投薬は基本的にジェネリック医薬品で、新薬(うちのスタッフのタイ人は「ハイブランド」と呼んでいました)の処方を受けれるのは稀ということです。
また、私は経験がありませんが、重篤な病状の場合でも十分な治療が受けられるかは疑問です。想像するに、外国人はシリアスなケースでは受け入れてもらえないんじゃないでしょうか。
民間の医療保険
私の勤務先は民間の医療保険に加入していて、社会保障カードとは別にGroup Health Insuranceというのがもらえます。
オーシャンライフという保険会社のハイプレミアムで、雇用主が毎年各雇用者の保険金約4,000バーツを負担しています。
従業員数400名以上の場合は保険会社からディスカウントがあるということです。
このカードはタイ国内のどの病院でも使用でき、基本的にキャッシュレスで診察と薬の処方をしてもらえ、そうでなければ診断書と領収書を後日この会社に請求すれば診察代と薬代が戻ってきますが、治療費の上限が定まっていて、それ以上の額は自己負担になります。
この保険の内容をかいつまんで説明すると、
死亡時給付金: | 100,000バーツ |
傷害保険金(特約給付金/事故死または重度の後遺障害): | 100,000バーツ |
入院費(一回の入院日数が31日まで): | 2,500バーツ(1日あたり) |
集中治療室(一回の入院日数が7日まで): | 5,000バーツ(1日あたり) |
緊急搬送を含むその他の費用: | 4,000バーツ(1日あたり) |
手術費: | 40,000バーツ(1日あたり) |
退院後の継続治療: | 1,000バーツ(1日あたり) |
救急治療費(事故が起きてから24時間以内の処置): | 8,000バーツ(年間で15日まで) |
外来治療: | 1,000バーツ(年間30回まで) |
検査費: | 3,000バーツ(年間) |
さらに、オプションで配偶者や子供もこのカードをもらえることができますが、その保険料は被雇用者の自己負担です。私の場合は子供のために年間約3,000バーツ払っています。家族の保険内容は上の表と同じですが、死亡保障金と傷害保険金は付与されません。
まとめ
社会保険は保険料が安い分、保障の内容も万全とは言い難いのが実情です。
幸いなことに私と家族はこれまで大きな怪我や病気がなく、かかりつけの中堅の私立病院で上述の民間の医療保険の保障内容でうまくカバーできています。
しかし、日本人でバンコク市内の高級私立病院で診察を受けたり入院したりする場合はこの内容でも治療費全額をカバーすることは不可能で、特に手術になった場合の超過分はかなりの負担になりますので、個人で別の保険に加入されている方も多くいらっしゃいます。
医療に限ったことではありませんが、日本とは違って選択肢が多い分、何事も自分で考えて決定する必要があります。タイで就職する時にはこういった福利厚生にも目を向けて、内容をしっかり確認した方がいいでしょう。