
在住者の方も旅行者の方も、交通機関が発達しているとは到底言い難いタイでは車があると行動できる範囲が広くなり、時間的にも融通がききます。
バンコクからパタヤやフアヒンだったら何とかバスかタイ国鉄、ロットゥー(乗り合いミニバス)で行くこともできますが、カオヤイのようなところには、車がないとツアーに申し込んだり、運転手さんを雇ったり、レンタカーを借りたりと面倒です。
タイに来た頃の私はバスとタクシーが主な移動手段で、日本とまったく事情が違うタイで自分が運転することになるとは想像すらしていなかったのですが、実際に運転してみると少しずつタイのドライバーの習慣みたいなものがわかってきました。
それからかれこれ5年ほど車を運転していますが、この記事では

と日々思っていることを書いてみたいと思います。
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1.醜い渋滞
悪名高きバンコクの渋滞は有名ですね。歩いて5分、車で30分などと揶揄されます。
私が大学に赴任するために初めてタイに来た時、途上国だから昔の東欧のようにさぞボロい車が多く走っているんだろうと想像していあたのですが、新しい日本車がバンバン走っているのにすごく驚きました。
そして、インラック政権(2012年頃)がマイカーを購入すると自動車物品税を還付するという形で新車の購入を煽ったこともあって、道を走る車の台数が急激に増えました。
それに対して、ただでさえバンコクの街全体の面積に対する道路の面積の占める割合が少ないのに、
- 水はけが悪いため、雨が降ると道路が冠水する
- 道路の修復工事に時間がかかる(注:拡張するためではなくて修復というところがミソです)
- 交通警官による(要領の悪い、というより意地の悪い)手動の信号操作
- 王室関係者が移動するときに道路を封鎖する
- 道路沿いに屋台が並ぶため路駐する車が多い
- 事故(特に派手なもの)が起こると、それを一目見ようという野次馬根性で周囲の車が減速する
などの理由で度々渋滞が起こります。

という人もいます。
彼は通勤が原因で別の会社に転職しました。
2.モーターサイ(バイク)は命知らず
バイクの最前列父ちゃん、その後ろに1~2人が子供で、子供たちを挟むように母ちゃんが一番後ろに座る、というのが、よく見かけるタイの田舎の典型的な家族らしいです(この順番は各家庭によって変わります)。
ミニバイクにノーヘル4人乗りで時速90㎞以上出して私の車を追い抜いていく若者(一番後ろの女の子はスマホをいじってた)や、やはりヘルメットをかぶらないで子供を幼稚園に送る父親など、彼らは命の尊さを考えたことがないようなので、車を運転する私が気を使わないといけません ((+_+))。
また、幹線道路では左右両側からバイクが攻めてくるので、左折するときに巻き込まないようにするのはもちろん、車線変更で右側の走行レーンに移るときも要確認。
彼らは渋滞中は車と車の間を縫うようにして前に進んで行きますが、結構狭くても強引に進んできて、停車していた私の車にバイクをコツンとぶつけられたことも。
それでも良心の呵責を感じる人はこちらを向いて謝るしぐさをするのですが、中には平気で知らん顔で通り過ぎるやつもいます。
車を降りて追いかけて捕まえるわけにもいかないのが悔しく、本当に殺意を覚えます。

3.車間距離をまったくといっていいほど取らない
特にトラックやバスは、前を走行中のバスや車にピッタリくっつくのを好む傾向があるように感じます。
過去にはドンムアン空港方面に向かうウィパワディー・ランシット通りで、ロットゥー(乗り合いミニバス)が130kmで前の車をピッタリ追尾するように走行し、


というような状況がFacebookだかYouTubeだかにアップされて話題になり、警察が調査に乗り出して運転手が罰金を払わされたという話も。
エアコンバスはとにかく猛スピードで走り、車内はエアコンがガンガン。まさに爆走冷蔵庫。
来タイ以来、クルマを買うまでずっとバスがメインの移動手段だったわけですが、1時間乗っても23バーツと安い代わりに、運転手さんに命を預けていたんですね。

4.車線はあってないようなもの
特に渋滞時には我先に前進しようとする車が多いので、車線をまたぐようにして車列が増えたりということが起きます。
高速で渋滞していると左の路肩を走る一般車も多く、「おいおい、いいのかそれ」と言ってやりたくなります。
緊急車両がサイレンを鳴らして近づいてきても左右によけたりしてスペースを空けたりしないので、重篤な患者さんが乗っていたら...と心配になります。
5.急ブレーキはしょっちゅう
私は急ブレーキをかけた後の反動が大嫌い(誰かに運転してもらっていてこれをされると確実に酔います)なので、前方に赤信号や高速の料金所、渋滞を確認すると、数百メートル先でもすぐにスピードを落とすのが習慣になっています。
ところが、タイ人ドライバーはあまり先の方まで見ていないのか、私の前を走っている車のブレーキランプがついてからスピードが落ちるまでの間隔がものすごく狭いので、気を付けないと追突してしまいます。
6.強引な割り込みと追い越し
コンビニなどの駐車場から道路に合流するため、または幹線道路でUターンするの待っている車で、車の流れが途切れるのを我慢しきれないのか、少しずつ車の頭部を前に出して無理矢理に入ってこようとする車が多いです。
この場合、スピードを出している車はクラクションとハイビームで「入ってくんな!」と警告しているようです。
また、片側1車線の道路で、対向車も見えているはずなのに何を急いでいるのか後ろから強引な追い越しをかける車もあります。
あぶないのでその場合はスピードを落としてさっさと追い抜かせますが、そういう車に限ってほんの数十メートル先のムーバーン(家々が集まる集落)に入って行きます。
たった数秒程度帰宅時間を早めるために、対向車と正面衝突する危機を犯してまで私を追い抜いて行ったのか...。

そこまでゆっくり走ってないんですが...
7.前方不注意、後方はまったく気にしない
ある日、友人の車に乗っていて信号待ちで停車していたところ、道路に面したコンビニの駐車場から車がゆっくりバックしてきたのですが、その車がどんどん助手席に座っていた自分に近づいてくるではありませんか。
「おい、これ大丈夫か?」と友人に声を掛けましたが前後が空いていなくて車は動かせず、とうとうこちらのドアに接触。
しかし、その後もバックするのをやめる気配がない!
友人がクラクションを鳴らすとやっと気づいて止まり、慌てて若い軍人さんが誤りに車から降りてきました...
それから、私の車も一回はバイクに、一回はピックアップトラックに後方からぶつけられました。
いずれも信号待ちや渋滞で停車中で、わき見運転でブレーキをかけるのが遅れたことによるものです。
しかし、5年ほど運転してこの程度の事故にしかあったことがないのはむしろ幸いなことなのかも知れません。
8.ウィンカーとハザードの意味がわからん
ウィンカーを出しぱなしなのに曲がらない車が多いです。
たぶん車線変更してそのままつけているのを忘れてる。
割り込んでくるのか思って減速するのですが、いつまでもこちらの車線に移って来ない...
そうやって隣の車としばらく併走していることがあります(笑)。
ハザードは、通常の停車する必要のあるときに点灯させるだけでなく、渋滞して詰まっているときに後続の車に知らせて追突されるのを防ぐために、また直進するという意味もある(右折または左折レーンに入ってしまったが実は直進したいとか)らしいので、びっくりしないようにしましょう。
日本では、割り込みをさせてもらったときに後続の車にお礼代わりに数回ハザードを点灯するのが慣例のようになっていて、ガイジンが「クールだ」と言ってましたが、そんなマナーはタイには皆無なようです。
運転の際に気を付けていること
私はもともと慎重な性格で安全運転ですが、タイに来てから自分でも運転が荒くなったと感じます。
やはりサバイバルじゃないですけど、環境に適応しなければ...
という戯言はやめて、個人的に気をつけていることです。
車間距離を十分に保つ
まず、車間距離を十分に保って、周りのペースにつられてスピードを出しすぎないということです。
あまりチンタラ走ってると追突される危険があるので、ある程度スピードは出して流れにのらないといけないのですが、そうかといって飛ばしすぎると、いきなり渋滞しているときに急ブレーキをかける羽目になります。
とにかく低姿勢で
トラブルを避けるため、クラクションを鳴らされても感情的に反応せず、どうしても割り込みさせてもらわないといけない場合は暑くても窓を開け、片手を挙げて

を連発する感じで、とにかくペコペコと控えめな態度でいること。
真ん中の車線を走る
3車線の道路では、左車線はバスが止まったり車が路駐していたりして何度も止まる羽目になり、右車線は日本の常識からすると追い越し車線なのですが交通量が多いとなぜか詰まることが多いので、基本的に真ん中の車線を走っています。
まあこの辺は、お住いの地域によって異なりますが、運転しているうちに土地勘がついて「この道路はひたすら真ん中の車線を走る」「このへんで右車線に移っておく」などいろいろなことがわかってくると思います。
後ろから猛スピードで追い上げてくる車は、左右どちらかの車線で追い抜いてくれますよ。
寛大に割り込みや追い越しをさせる
先ほど書いた通り、Uターンや大型スーパーの駐車場などから車を前に出して、強引に車の流れを止めようとする人が多いです。
また、車を侵入させるタイミングをしっかりつかめないドライバーもいるんですよね...
こういったシチュエーションで意地を張って譲らないと、その車と必ずといっていいほど事故ります。
もちろん後続の車にも気をつけなければいけませんが、譲れるんだったら譲った方が事故の確率はグッと減ります。
また、幹線道路を走っていて前の車を右車線から追い抜いている時、後ろから猛スピードで迫ってくる車がありますので、その場合も抜き終わってすぐにもとの車線に戻り、気持ちよく追い越させてあげます(笑)。
運転手心理として、一度スピードに乗るとブレーキを踏むことに抵抗を感じませんか?
それがわかっているので、「あーぶっ飛ばしたいならどうぞ」ってな感じで先に行ってもらいます。

最後に
他にも、
- タクシーと、それにレースをけしかける車で2車線占拠されていたり
- 左折し損ねた車が路肩をバックしてきて、あわてて避けたり
- これだけ交通警官が取り締まりしてるのにもかかわらず飲酒運転が多かったり
- 前方を走っていたトラックからいきなりボルトみたいなものが落下して、それが路面でバウンドして後ろを走っていた自分の車のフロントガラスに当たってひびが入ったり
- 普段通りの道を走っているのにもかかわらず、一週間に2回もタイヤに釘が刺さってパンクしたり

車は便利ですし、何よりもなかなかバスなどで行くのは難しいような場所を訪れて、メジャーな観光地とはまた違ったタイの魅力を発見できます。
万が一のために自分の車に合った保険に加入したり、車載カメラを設置するなどは私もしています。
しかし、どっちが悪いということは抜きにして、車を修理に出すとなると非常に不便なので、常にぶつけられないように気を使っています。
ということで、タイで運転中には変なプライドは捨て、 心の余裕をキープして寛大な態度で割り込みを許し 、事故に巻き込まれないよう心がけましょう。
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