
海外に住んでいてたまに日本に帰国すると実感することは、日本製品の素晴らしさ。便利なグッズ、おしゃれな洋服、性能がいい電化製品...帰るたびに物欲、購買欲が刺激されます(笑)。
2015年1月から、エコノミークラスでも1つが23Kg以下のスーツケースを一人2個まで預けることができるようになってから、私のような海外在住者の方は日本での滞在中に買い込む物の量が増えたという人も多いのではないでしょうか?
その際ネックになるのが消費税。2014年4月に5%から8%に増税されましたが、さらに2019年10月には10%に引き上げられるようで、当たり前ですがパソコンや高性能のデジカメなど購入しようとしているモノが高価なほど税額も大きくなります。
ですが、海外に長く住んでいる日本人は、外国人観光客と同様に消費税が免税になることをご存知でしょうか?
今回、はじめてこの海外在住者としての恩恵を授かって消費税なしで物品を購入してきたので、その方法をまとめたいと思います。そんなの知らなかった!という方はぜひご一読ください ♪
コンテンツ:
どんな人が免税を受けられるの?
ざっくり言うと、「非居住者」であること、つまり日本に住んでいない人、海外に生活拠点がある人です。
具体的には、
① 外国にある事務所(日本法人の海外支店等、現地法人、駐在員事務所及び国際機関を含む)に勤務する目的で出国し外国に滞在する者
② 2年以上外国に滞在する目的で出国し外国に滞在する者
③ ①及び②に掲げる者のほか、日本出国後、外国に2年以上滞在するに至った者
④ ①から③までに掲げる者で、事務連絡、休暇等のため一時帰国し、その滞在期間が6か月未満の者観光庁ウェブサイト「免税店とは」より 以下同様
ですので、「仕事や留学などで2年以上海外に住んでいて、なおかつ一時帰国の際の滞在期間が半年未満」ということになります。
また、非居住者ということを証明するために、免税で物品を購入する際にパスポートに記載されてる滞在国の有効なビザと、日本入国日のスタンプを提示する必要があります。
どんなものが免税になるの?
消費税なしで購入できる商品は大別して以下の2通りあります。
一般物品
- 家電・電化製品(炊飯器、パソコン、デジカメなど)
- 衣料品等(洋服、着物、靴、バッグなど)
- 装身具(時計、アクセサリーなど)
- 民芸品、食器、玩具など
これら一般物品の購入では、同じ店舗における1日の購入金額が5千円以上(税抜)であることが条件です。
商品は購入後すぐ使用できます。眼鏡だったらすぐかけてもいいし、服も着て問題ないですし、PCやデジカメもすぐに使うことができます。ただし、入国後6ヶ月未満に日本国外へ持ち出しが不可欠です。
消耗品
- 食料品(調味料、菓子類など)
- コスメ、化粧品
- 飲み物(日本酒)
- 医薬品、サプリメントなどの健康食品
消耗品については、同じ店舗における1日の販売合計額が5千円以上、50万円までであることと、購入後30日以内の国外への持ち出しが不可欠です。
これらの商品は指定の袋に入れて渡されますが、出国する前に開けると課税対象になってしまいます。あくまで日本で消費しないから免税になるので、そこのところをしっかり押さえておきましょう。
※明らかに生活する上で使わないもの、事業用または販売目的で購入する場合は免税の対象から外れます。
一般物品と消耗品の合算
現在はこの両方を合算して免税してもらうことはできません。
つまり、大型ショッピングセンターの衣料品店で一般物品である服を3,000円分、そのあと同じショッピングセンター内のドラッグストアで消耗品である化粧品を3,000円分購入しても、両方とも5,000円未満なので免税はしてもらえません。
しかし、2018年(平成30年)7月以降、一般物品にも消耗品と同じ包装をしてもらうことで(つまり出国まで開封・使用できない)合算が可能になるようです!
消費税免税の手続き方法は?
主に写真の日の丸と桜をあしらったロゴや「Japan Tax-free Shop」という記載のある、「消費税免税店」の認可を受けた店舗で購入する必要があります。
これには大きく分けて以下の2通りがあり、お店によって異なるのでお買い物前に必ず確認してください。
レジで税抜価格を支払う場合
今回、私は友人に頼まれたものを買うために上野駅からすぐのこのおもちゃ専門店に行きましたが、このような「一般型消費税免税店」では、レジで支払いをするときに消費税額を差し引いた額にしてくれます。
手続きは簡単 ♪
まず、免税手続きをお願いする旨をレジで店員さんに伝え、パスポートを提示します。そうすると、入国日を確認したあとパスポートの情報をもとに書類を作成してくれます。
こちらがその書類「最終的に輸出となる物品の消費税免税購入についての購入誓約書」。記載内容を確認し、パスポートと同じサインをします。
店員さんはその控えとなる「輸出免税物品購入記録票」をパスポートにホチキス止めしてくれます。
このように、レシートにはすでに税抜き価格が表示されています。
こちらのお店で売られているおもちゃは前述の一般物品にあたるのですが、英語でしつこく「お買い忘れはありませんか?」「お会計の際はお買い物品をまとめてください」と店内に表示がありました。
なかには4千円の買い物をして代金を支払い、そのあとでもう2千円分買い足して「合計で6千円になったから免税手続きをしてくれ」という人がいるらしいのですが、1回の会計につき5千円(税込5,400円)以上、というのが条件ですので注意が必要です。
免税カウンターで手続きする場合
デパート、特定商業施設などの「手続き委託型」では、先に消費税込みの金額を支払い、購入した商品、パスポート、レシート、そしてクレジットカードを利用した場合は使用したカードを持って免税カウンターに行きます。
今回は大型スーパーマーケットの中にある3店舗でスーツケース、靴、ショルダーバッグを購入し、それぞれのレシートを持ってカウンターで手続きをしてもらいました。レシートには「免税済み」のスタンプが押されます。
やはり購入記録票をパスポートに貼り付けしてもらいました。
消費税分の金額を現金で渡してもらい続き終了です。
空港での手続き
さて、「税金さえ戻ってくればこっちのもの」ではなく、日本を出国前に税関のカウンターで購入した商品を見せ、パスポートに留めてある購入記録票提出することが義務付けられていて、そのカウンターはチェックイン済ませ荷物を預け、手荷物検査を受けたあと、出国検査場でパスポートに出国のスタンプを押してもらう手前にあります。
ですので、基本的には免税を受けた物品は手荷物となるのですが、実際には記録票だけ提出し、商品を見せることはありませんでした。
おもちゃ屋さんで買ったものを見せようとしたところ、
と一言。
そこで、後日妻が出国するときに持ち出す予定の化粧品(液体なので手荷物として持ち込めない)とスーツケース(でかいのでやはり預け荷物にしないといけない)について質問したところ、
ということでした。
消費税免税で買い物をするときの注意事項
海外在住者が一時帰国の際に消費税免税で買い物をするためには以上に書いたこと以外にもいくつか注意点がありますので、ここにまとめてみます。
パスポートはコピー不可・要入国スタンプ!
今回、羽田空港に到着したときに職員さんに「こちらどうぞ~」と声をかけられたこともあり、そちらの方が空いていたこともあり、自動化ゲートを通ってしまいました。このゲートではパスポートを機械で読み取るだけですので、入国のスタンプは押されません。
そこで、どうして免税してもらえたかというと、店員さんに入国スタンプが押されていない理由を説明して、パスポートにあるタイのビザのほかに航空券の半券を見せてなんとか理解してもらうことができました。
手続きをしてくれるのは店員さんで税関職員ではないので、その辺はいまのところ店員さんの裁量となっているようです。実際にずっと海外暮らしですし不正を働いたわけではないのですが、決まりでは「入国日が確認できるスタンプがない場合は手続きができない」ということなので、気をつけてください。
免税手続きは当日限りで一店舗につき一日に一回のみ
申請期間は購入当日限りで、この日を過ぎてしまうと手続きをしてもらうことができません。必ずまとめて購入し、お店を出る前に忘れずに手続きを済ませましょう。
大型スーパーでは時間と手数料がかかる
特にデパートやスーパー内の複数の店舗で物品を購入した場合は、レシートがいくつもあるので免税カウンターでの手続きには時間がかかります。
必ずしも店舗の営業時間=免税手続きができる時間とは限りません。妻が行ったスーパーでは、営業時間が9:30~22:00に対し、免税カウンターで手続きできるのは11:00~19:00でした。閉店間際に購入してもカウンターが閉まっていることもあるので、時間には余裕を持つようにしましょう。
また、このスーパーでは手数料として対象商品代金の1.1%が差し引かれました。そうすると免税されるのは6.9%となってしまいますが、致し方ありません...
返品はできない
一度購入したものを免税手続きしてもらったら、返品は受け付けてもらえません。
クレジットカードは本人名義のものを
パスポートとクレジットカードの名前が同一であることが必要です。私のクレジットカードを使って購入した物品を妻のパスポートを使って免税してもらうことは、たとえ家族であってもダメです。
まとめ
1.日本入国の際、自動化ゲートを通らずに入国審査官にスタンプを押してもらう
2.買い物に行くときはパスポートを持参し、店員さんの求めに応じてビザと入国スタンプを見せる
3.買い物前にあらかじめ「レジで消費税抜きで支払う」のか「一回すべて支払ってからカウンターで消費税分の払い戻しを受ける」のか確認する
4.レジで消費税免税になる場合には、買い忘れがないようにしっかり確認する
5.クレジットカードで支払う場合には、カードとパスポートの名義が同じであること
6.サービスカウンターで払い戻しを受けるには時間に余裕を持って手続きする
7.消耗品は出国するまで開封しない
8.出国時にパスポート貼付の購入票を出国のスタンプを押してもらう前に税関職員に渡す
以上が、海外長期在住者が日本で買い物をする際に消費税の支払いを免除してもらう方法になります。
これは日本人観光客がタイに来てショッピングをした場合にVAT(付加価値税)の還付を受けるのと比べると手続きが非常に簡単な上、非居住者には認められていることですので、ぜひ活用してみてください。