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バンコク~チェンマイ間を走る予定の日本式新幹線に期待すること

撮り鉄ほどのマニアではありませんが、私は鉄道好きです。

 

小学生の時、東北新幹線が開業して、親に頼み込んで親戚の家まで一人旅させてもらったことがあります。

 

アメリカのAmtrakにも、ドイツのICEにも、フランスのTGVにも、イタリアのItaloにも乗った。

 

あとは、タイに日本の新幹線(正確には日本の新幹線方式を採用した高速鉄道)が本当に走るのところを見なくては(笑)。

 

2009年にタイにおける高速鉄道が立案されてからというもの、中国の攻勢が強く、一時はすべての路線事業を持っていかれるかという感じだったものの、なんとか日本が競争に打ち勝ちました。

 

そして昨年半ばの大筋合意の段階までは結構話が進んでいた感じでしたが、詰めの段階に入ってくるとやはり一筋縄ではいきませんね。

 

昨年末には、列車のスピードを遅くするとか、文字通りトーンダウン...この話、どうなっちゃうのかと心配になっちゃいましたよ。

 

これまでの経緯

まず、バンコク―チェンマイ間の高速鉄道に関するこれまでの出来事を時系列で。

 

2015210

タイのプラユット首相が来日し、東海道新幹線「のぞみ」の最新車両N700Aに試乗。

 

2015527

日本の新幹線方式の導入を前提に現地調査を行うことで日本とタイの両政府が合意。

 

201686

日本の新幹線方式を導入することなどを確認し、2018年中に着工できると見通しを発表。

 

201767

全線にわたり専用軌道で整備することの確認と事業性調査報告書を年内にとりまとめる覚書。

 

20171214

日国土交通省が総整備費を4200億バーツ(約1兆4600億円)とする報告書をタイ側に提出し、同時にバンコクから途中駅ピサヌロークまでの第1期380㎞を2025年に開業することを提案。

 

20171222

タイ政府が「建設開始まで1年ほどかかる」という見通しを発表。

 

20171227

プラユット首相が運輸省に、

  • 時速300キロに設定している最高速度を180~200キロに引き下げることで建設費をどれくらい削減できるか、
  • このプロジェクトを政府間事業としてではなく、官民パートナーシップとして実施できるかどうか

検討するよう指示。

 

2018127

タイ運輸省が「列車の最高速度を下げるかどうかはまだ決定されていない」とする声明を発表。

 

201828

「最高速度を下げても建設費はあまり削減できない」という結論に達し、やはり日本側の当初の提案通り、最高速度を時速300㎞とすることで合意。

(国土交通省HP、各報道などから抜粋して作成)

 

現在のところ、2019年着工、2025年の開業予定ということです。

 

 

問題は採算性

日本の新幹線技術の初輸出先となった台湾は、2007年の開業以来経営赤字が膨らみ、破綻寸前まで行きました(最近やっと黒字に転じて運営会社が証券取引所に上場したようです)。

 

タイの高速鉄道計画にも関与している中国に至っては、93%が赤字路線なのにも関わらずどんどん路線拡張をしているありさま。

 

では、タイでの利用者のポテンシャルはどうでしょうか。

 

バンコクの人口は約800万人(駐在員などは除く)、周辺の6つの県で約500万人。ということは、首都圏全体で1,300万人なので、これだけ見ると十分な需要が見込めそうですが...

 

チェンマイ県の人口は約173万人(注:外国人13万人を含む)、工期の第1フェーズで建設が予定されていて、だいたいバンコクとチェンマイの中間に位置するピッサヌローク市は人口8万人、県全体でも85万人と、かなり微妙。

 

また、北部地域の世帯平均収入は、タイ全国の平均は26,915バーツに対して18,852バーツということことからも、将来新幹線を利用する人口というのはかなり限られてくるのではないでしょうか。

 

それに加え、タイのもっともメジャーなこの2都市間は長距離バスと飛行機での移動が一般的で、それらとの競合も考えないといけませんね。

 

チェンマイまでの移動手段比較(片道)

 
自家用車

所要時間:7時間30分、燃料費:1,088バーツ

*友人が年末に実際に車を運転してチェンマイに行ったときの記録。ガソリン代は走行距離700㎞、想定燃費18㎞/ℓ、1リットル当たり28.5バーツで計算。

 

バス

所要時間:9時間、運賃:759バーツ

*ナコーンチャイエアーのファーストクラスを利用。

 

タイ国鉄

所要時間:11~13時間時間、運賃:593バーツ

*特急「ウタラヴィティ号」の1等車利用。寝台下段利用は1,653バーツ。

 

飛行機

所要時間:1時間20分、運賃:690~1,125バーツ

*タイ・ライオンエアのプロモーション価格で2ヶ月前にオンライン予約(空港までの移動時間は除く)

 

新幹線(予定)

所要時間:3時間30分、運賃:1,000バーツ以上

 

バスはモーチットの北バスターミナルから、飛行機はスワンナプーム/ドンムアンからと、いずれもアクセスが便利とは言えないので、バンコクの新幹線発着駅までのアクセスの充実と周辺の整備、そして新幹線が通る沿線の開発は必要不可欠ですね。

 

希望的観測

タイの高速鉄道関係者は、

バンコクのBTSも、開業当初は利用者が少なくガラガラの状態だったが今では利用者もかなり増え、特に朝夕のラッシュ時はとても混雑していて、運行数を増やして対応していますが利用者数に追いつかないほどです。高速鉄道が開業すればきっと新たな需要も生まれ、採算は取れると考えています。

と話しています。

 

いかにもタイらしい楽観的なコメントですが、中国から技術協力を受けるバンコク~ナコーンラチャシマー間の高速鉄道の建設が昨年12月に始まっていますので、チェンマイ線も順調にそれに続いてくれればと期待しています。

 

タイは鉄道での移動はあまりポピュラーでなないので、鉄道ファンもあまりタイにはいないんじゃないかと思うのですが、子供が小学校低学年の時に日本の乗り物図鑑を学校に持っていったらモテモテだったのを覚えています。

 

それから数年後には日本に行くタイ人観光客がどっと増え、昨日はディズニーランド、今日はUSJという強者の話も聞きますが、日本の新幹線がタイの大地を走ることになってタイの子供たちの間でも人気が出るといいなあと思います。

 

開業当初から多くの需要を見込むのは酷かもしれませんが、高速鉄道がタイという国の、特に途中の12駅周辺の発展と都市と農村部の交流促進に寄与してくれれば嬉しいです。

 

のんびりとしているタイも鉄道の高速化で少しはペースが上がるかどうかはさておき、これから先はタイの交通インフラが大きな変化をしていくことでしょう。

 

日本というのは技術力だけでなく、他国に夢を与え続けてくれる国であってほしいと心底願っています。

 

そして少年だった私が東北新幹線に初めて乗った時の感動をもう一度!!!(笑)

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プロフィール

バンコク郊外の大学講師

念願だった東南アジアでの教職を得て、なんとなくタイに移住した形となり15年。

このおおらかな国で、人を育てるというやりがいと責任ある仕事、そしてとても貴重な経験をさせてもらっています。

タイにお住まいの方やこれから来られる方に、楽しくお役立ち情報を提供できればと考えています。

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