
タイ人に水上マーケットについて尋ねると必ず筆頭候補に挙げられるアムパワー。
バンコクから南西に約50㎞、車で1時間ちょっとのところにあるサムットソンクラーム県にあり、昔から地域の人々の物流の中心地として栄えたところ。
ボートを使った商売や輸送をしやすくするために、メークロン川沿いに木造の家々がたくさん建てられ、いまでもその多くを見ることができます。
2008年には、UNESCOのアジア環太平洋文化遺産保全コンテストで特別賞を受賞しています。
近くのダムヌンサドゥアック水上マーケットに比べると、ローカル色の強いアムパワーですが、それがここの魅力でもあるんです。
そんなアムパワー水上マーケットは、ご当地グルメ好きな人、タイの歴史や文化が好きな人、面白い体験をしたい人にはうってつけの場所。
この記事では、アムパワーの魅力を紹介し、おすすめのアクティビティーをまとめてみました。
コンテンツ:
1.ボートツアーに参加する
まずはボートに乗ってみましょう。
アムパワーでは、大別して日中と夕刻、2種類のツアーがあります。
日中は、5、7、または9つの寺院をめぐるツアーがあり、料金は一人50バーツ、または貸し切りで500バーツ(12人まで)、所要時間は2時間。
ただ川から眺めるだけでなく、各寺院近くの船着き場から岸に上がって実際に寺院の中を訪れることができます(船はちゃんと待っててくれます)。
また、貸し切りの場合のみですが、寺院だけでなく周辺の自然を観察するツアー(600バーツ、18時出発)もあります。
参加の仕方は、運河沿いを歩いているとツアーボート用の船着き場が何ヶ所かあり、このような看板を見つけることができるので、代金を支払って船着き場から乗り込みます。
夕刻のツアーは蛍狩り で、所要時間は45~50分。料金は一人60バーツ、または貸し切りで600バーツ(12人まで)です。
ツアー申込は先ほどの日中のツアーと同じ場所か、運河にいくつかかかっている橋のたもとに、このようなツアーチケット売り場を見つけることができます。
ボート乗り場も橋のたもとにあり、運河を出てメークロン川の蛍狩りのポイントまでゆっくり25分くらいかけて行き、川の両岸で蛍を15分ほど鑑賞し、再び同じ場所に戻って来ます。
タイで蛍を見るのは初めてでしたが、クリスマスツリーのようにチカチカと点滅するような光り方が印象的でした。


アムパワーでは年間を通して蛍狩りができるそうです。
2.ご当地グルメを堪能する
食べ歩きが好きな人は、シーフードやクイッティアウ・ルア(ボート麺)、地元の軽食やデザートをエンジョイしましょう!
海老、イカ、カニ、牡蠣、ホタテなど、魚介類は本当に新鮮でおいしい!
またメークロンの有名なプラートゥー(サバの仲間で頭が折れ曲がったようなユニークな魚)や、トートマン・プラ―という、甘辛のジャムのようなたれをつけて食べる魚のすり身揚げもおすすめです。
デザートも忘れちゃダメですよ!
ブアロイ(小さなお団子をココナッツミルクに入れた)、クロンクランクロープ(生地を揚げてキャラメルソースでコーティングしたもの)、トーンヨート(アヒルの卵、米粉、砂糖をこねてシロップ漬けにしたボール状のお菓子)、そしてココナッツの果肉がたっぷり入ったアイスクリーム!
川沿いの古民家風のレストランやカフェ、シーフードやタイのスイーツ以外にも、カラフルでつい手を伸ばしてしまうスナック菓子がたくさん、しかも値段の安いこと!
3.ショッピング:小物雑貨などの土産ものを買う
他のマーケット同様、ちょっと買い物でもしてみましょうか。
ここでは、ハンドメイドでバラエティー豊かなアクセサリー、キーホルダー、バッグやTシャツ、マグネットなど、見ているだけで楽しいものがいっぱいあります。
安くてかわいい小物雑貨を大量に買い込んで、日本へのお土産にしてしまうのもありですね。
4.ボート上でマッサージを受ける
タイでは手軽にマッサージを受けることができるのが魅力ですね。
アムパワーのマーケットにもマッサージ屋さんを見つけることができますが、ここではなんと小クルーズを楽しみながらボート上でマッサージを受けることができちゃうんです!
ただし混みあうので、どうしてもボートマッサージを体験したいという人は、事前の予約を忘れずに。
営業時間:金・土・日曜日の10時、14時、16時、18時、20時の5回
料金:350バーツ(足マッサージ45分、蛍鑑賞45分、お茶とフルーツ付き)
Tel. 06-931-5416、061-756-7101、086-764-7364
Email: Tanasin54321@gmail.com
5.ラマ2世記念公園を訪れる
ぜひ、タイの歴史にも簡単に触れてみてください。
公園内には、伝統的なタイ建築様式の建物がたくさんあり、それぞれにラタナコシンの初期の時代、ラーマ2世統治時代のタイ人の生活様式にさかのぼる古代の美術品が展示されています。
屋外には、タイの文学に出てくる様々な種類の木々が植えられた植物園があります。
敷地面積は約17,800平方メートルあり、レンタサイクル(40バーツ)やタイ衣装のレンタルもあります。
アムパワーのラマ2世記念公園
19世紀初頭のタイの人々の生活様式を紹介するこの小さな博物館。川沿いにあり、伝統的なタイの様式の住居に様々な展示物。最後の写真は絵画ではなく精巧な刺繍で感動もの。併設のカフェもあります。
開園:毎日8:30〜17:00
入場料:外国人60バーツ、タイ人40(子ども20) pic.twitter.com/P0qQR7HDqK— バンコク郊外の大学講師 (@thaifoodfun) May 7, 2019
営業時間:毎日8時30分~17時
料金:外国人60バーツ、タイ人40バーツ、子供20バーツ
Tel. 034-751-666
6.木に囲まれた寺、ワット・バーンクンを訪れる
アムパワーには星の数と同じくらい寺院があるんじゃないかと言うくらい、歩いても車で走ってもそこらじゅうにお寺を見かけましたが、このワットバーンクンはアユタヤ王朝時代に建てられた歴史ある寺院です。
御堂が菩提樹にすっぽりと覆われ、独特の雰囲気を醸し出しているこの寺院は、タイ国政府観光庁からUnseen Thailand(まだ見ぬタイ)という名所のひとつに指定されています。
かつて海軍のベースキャンプがあったことから、寺院の周辺にはこのような戦士のモニュメントが多数置かれています。
18世紀中頃、タイはビルマ軍の攻撃をたびたび受け、ここにビルマ軍の攻撃を食い止めるための野営地が設営されました。
一度はビルマ軍に歯が立たず破壊されましたが、1767年にタクシン大王が国の独立を取り戻した後、タイに住んでいた中国人たちによる、この野営地を警備するための衛兵が組織されました。
1768年、再びビルマの軍隊の攻撃に遭い敗北寸前となりますが、タクシン大王とラマ1世の弟スラシンハナートが共同で参戦し、遂にビルマ軍を撃退しました。
営業時間:毎日7時~17時
入場無料
前述の寺院巡りをするボートツアーに組み込まれていますので、車がない方はそちらを利用するといいでしょう。
Tel. 034-751-666
7.水上托鉢の僧侶にお供え物をする
アムパワー水上マーケットには、早朝にカヌーよろしくボートを漕いで托鉢にまわる僧侶がいます。
私が宿泊したホテルのフロントにもお供えセットが売っていましたが、朝6時ごろからマーケット内の屋台・飲食店が開き、お供え物用に食事と線香・ろうそく・蓮の花をセットにして売っています(30バーツ)のでそれを買い、橋のたもとで待ちます。
川沿いで洗い物や開店準備をしている地元の人たちに混ぜてもらい、一緒にお供え物をしましょう。
路上では靴を脱いでひざまずきますが、ボートで托鉢に来る僧侶へのお供えするときはそのまま階段に座れば大丈夫のようです。
寄進する食事、線香・ろうそく・蓮の花とも僧侶が差し出す鉢に丁寧に入れ、お経をあげたり言葉をかけたりしてもらう際には手を合わせるのを忘れずに。
アムパワーで水上托鉢の僧侶にお供え物
6時過ぎにホテルを出て川近くのマーケットでお供え物を用意し、6時半頃にカヤックよろしくボートを漕いで托鉢に来る僧侶に渡します。路上を徒歩で托鉢に来たお坊さんに出くわしてお供えし、慌ててもう一つ別のを用意しました😓 水上マーケットならではの光景。 pic.twitter.com/JoLuH7qXmu— バンコク郊外の大学講師🇹🇭 (@thaifoodfun) May 6, 2019
8.シャムネコに触れる
ワット・バーンクンから南に約2㎞のところに、タイの猫ハウスという、タイ固有の猫と触れ合う飼育施設があります。
日中は暑いので、ほとんどの猫たちはケージに入って寝ていますが、中には愛くるしい顔を見せてくれる猫もいます。
また、エアコンが効いた部屋が一室あり、そこでは子猫たちと遊ぶことができます。

併設のカフェは、猫カフェどころかペット禁止ですが、こじんまりとしていて、カジュアルな雰囲気とおしゃれなインテリアで人気です。
メニューも、ドリンクだけでなくランチメニューやデザートも充実していて、観光途中で休憩に寄るのにピッタリ。
食事もドリンクも観光地にしては良心価格で、ホワイトモカ(アイス:80バーツ)はやけにおいしかったです。
営業時間:8時~18時
入場料:無料
For Taxi: 2 แควอ้อม 17 ถนน โครงการหมู่ 8 วัดลังกา-เลียบคลองโคกหมู่ 9-วัดจุฬา ตำบล แควอ้อม อำเภอ อัมพวา สมุทรสงคราม 75110
Tel.:034 702 068
The Kittens Koffie Arts'n Eats(カフェ)
営業時間:9時~18時
住所:2/1 หมู่ 7 Tambon Khwae oom อำเภอ อัมพวา สมุทรสงคราม 75110
9.ベンジャロン焼きの絵付け体験をする
アユタヤ王朝時代に生み出された、タイを代表する伝統工芸品、ベンジャロン焼き。
アムパワー水上マーケットの一角に、ベンジャロン焼きの販売と工房を兼ねた小さなお店があり、そこで随時ワークショップを開催していて、自分で筆を使って絵付けをし、世界で一つだけの作品を作ることができます。
ワークショップでは、まずカップなどの器の種類と大きさを選び、次に柄を選ぶのですが、伝統的なタイの模様だけでなく、アニメチックなものなども選ぶことができます。
職人さんがまず柄を描いてくれ、顔料も用意してくれるので、塗り絵のように色を選んで塗っていくだけです。
息子は売り場にあるようなタイの伝統的な模様で、しかもマグカップの取っ手にまで絵付けをする、かなり難易度の高いものを選択(これで送料を合わせて650バーツほどでした)。
絵付け作業が細かすぎて、結局2時間ではほとんど作業が進まず、翌日も通ってもう2時間ほどさせてもらってなんとか塗り終えることができました。

あまり上手にできなくても修正と仕上げをしてもらうことができますが、名入れだけは必ずする必要があります。
この後、焼く工程があり、完成したら自宅まで送ってくれるのですが、これが1週間ほどかかるので、残念ながらタイ在住者か長期滞在者向けということになります。
家族経営のお店ですが、15歳の男の子がすでに売り物の絵付けを任されていて感心。
店頭では、コーヒーカップやアロマポット、置き物やアクセサリーなど、様々なベンジャロン製品の販売も行われています。
絵付けの様子を観察するだけでもOK。
営業時間:9時30分~19時
ワークショップ料金:器の種類や大きさ、絵柄などにより120~600バーツ(送料別途、クレジットカード使用の場合手数料が加算されます)
住所:เลขที่ 2/2 ตำบล อัมพวา อำเภอ อัมพวา สมุทรสงคราม 75110
Tel.:082 348 6094
10.コーンのお面工房&直売店を訪れる
アムパワー水上マーケットの中心地から南西に6.5㎞、車で12~3分かかり少しわかりにくい場所ですが、タイの伝統仮面舞踊コーンのお面の製作所があります。
コチラでは顧客への受注生産とタイの免税店 King Power への卸売りをしていますが、こちらで直接購入することも可能です。
例えばこちら、11インチ(約28cm)のものは、空港の免税店で購入すると7,500バーツほどですが、ここだと4,000バーツで購入することができます。
コーンの元になっているラーマキエン物語(タイの古典文学)には400ほどの登場人物が出てきますが、その中でも有名なもののお面のミニチュアが、一つ一つ丁寧にハンドメイドでつくられています。
熟練の職人にいる工芸品ですので決して安いものではありませんが、私がタイを去ることになるまでに、この地の思い出としていくつか購入しておきたいものの一つです。
オーナーさんは、日本を含めた世界各地でお面の展示会やワークショップをされており、私たちが訪れた数日前にドバイから戻ってきたばかり。
また、親切にも製作所を見学させてもらい、お面が出来上がる工程を説明してくださいました。
購入できるものはこちらに展示してあるものだけですが、iPadでカタログを見せてくれ、こちらにないものはオーダーすることができます。
製作にかかる日数は、先ほどの11インチのもので2週間程度、実際に仮面舞踊に使われる大きいものは1ヶ月以上というお話でした。
タイからは仏像の持ち出しは禁じられていますが、このコーンのお面はOTOP(タイ政府が公認する各地の特産品や工芸品)製品でもあり何ら問題ありません。
日本へのお土産や、完全帰国前にタイ滞在の思い出にいかがでしょうか?
営業時間:9時30分~19時
料金:お面の種類や大きさ、絵柄などにより500、1,800、2,000、4,000、5,000バーツ(タイ国内送料込、クレジットカード可)
住所:74 หมู่1 ต.ปลายโพงพาง อ.อัมพวา จ.สมุทรสงคราม อัมพวา อำเภอ อัมพวา สมุทรสงคราม 75110
Tel.:081 775 4118(必ずアポを取ってから訪れてください)
ウェブサイト
11.おまけ:メークロンの線路市場を訪れる
SNSなどでかなり有名になったメークロンの鉄道線路市場。
タイ国鉄メークロン駅から東に延びる線路脇すれすれに、野菜や果物などが所狭しと並んでいる地元のマーケットです。
一日数回列車が通るたびに日除けの傘がたたまれ、列車が通過後にはまた一斉にその傘が開かれる光景は、実際に目にするととても印象的・感動的です。
アムパワー水上マーケットまでは7.5㎞、車で15分ほどですので、アムパワーに行く途中、またはバンコクに戻る途中に列車の通過時間に合わせて立ち寄るのがいいかと思います。
マーケット開催時間:6時から18時くらいまで
列車が通過する時間:
(下り)8時30分、11時、14時30分、17時30分
(上り)6時30分、9時、11時30分、15時30分
アムパワー水上マーケットでするべき10のこと:まとめ
いかがでしたでしょうか?
バンコクから1時間ほどかかりますが、都会とはまた趣が違い、タイらしさがギュッと凝縮されたアムパワー水上マーケット。
バンコクからの日帰りも可能ですので、ぜひ旅程に組み込んでみてください。
普段はバンコクに住んでいて、週末だけ店を開きにアムパワーに来るショップオーナーもいるようです。